溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
「光希?」
夜闇の残光を映す真っ黒な瞳は、オフィスビルの屋上で覗きこんだときと少しも変わらない。見るものすべてを魅了するような静かな色だった。
私だけに降り注ぐ満月の光みたいに、あたたかくて柔らかで、心が満たされていく。
気持ちがあふれて、止まらなくなる。
「好きです」
瀬戸くんの目が驚いたように丸まった。
「生吹さんのことが、好き」
彼の長い指をきゅっと握りしめながら、もう一度口にしたとたん、広い胸に閉じ込められた。怒ったような声が耳元をくすぐる。
「どうして今、そういうことを言うんだよ」
瀬戸くんの匂いに包まれて、涙がこぼれそうになった。
愛しい人に愛しいと伝えただけなのに、どうして胸が苦しくなるのだろう。
「離したくなくなるだろ」
低い声に感情を揺り動かされ、たまらず首に抱き付くと、彼は一段ときつく私を抱きしめた。
離さないでと、強く思う。
このまま二人で溶け合って、消えてしまってもいい。
暗闇の中でお互いの存在を確認するように、衣服越しに体温を交換するみたいに、私たちは時間をかけて、ゆっくりとぬくもりを抱きしめあった。