溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
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短期間に三度目の訪問ともなれば、どんなに縁のない世界だとしてもそれなりに慣れてくる。
緊張はするけど、相手の態度や出方がわかっているぶん、心構えもできる。と思っていたけれど、瀬戸くんに導かれて応接間に通された私は、その場に立ち尽くした。
「あら、何あなた、来るところ間違ってるわよ」
ソファでお茶を飲んでいた杏子さんがいつもの調子で言う。そのとなりに、見慣れないのロマンスグレーの男性が座っていた。
五十代そこそこといった感じで、浅黒い肌が若々しく、瀬戸くんとそっくりな精悍な顔立ちをしている。
「父だよ。今日は休診日だったから同席してもらったんだ」
瀬戸くんの言葉に、反射的に頭を下げた。
「はじめまして、西尾光希と申します。お休みの日に突然お邪魔して申し訳ありません」
瀬戸くんのお父さんは、厳めしい表情で微かにうなずいただけだった。背筋を冷たいものが下りる。これはなかなか、手ごわいかもしれない。
「光希、こっちに」
瀬戸くんに手を引かれ、私はソファに腰を下ろす。お客だとも認識されていないようで、お茶が用意される気配はなかった。