君に溺れた
side~真凛~
大地さんはあの日から一緒にいるときは常に私の側にいてくれる。

朝、新聞配達のバイトから戻って朝食を準備する。

キッチンで準備してると大地さんはネクタイを持って私のところへ。

ネクタイをするのが私の仕事になっている。

最初は上手く結べなくて、あたふたしている私をみて笑うのが楽しかったみたい。

でも最近はスムーズに結べるようになって、物足りないのかネクタイを結んでいる私にキスするのが日課になっている。

大地さんとキスするのは好きだけど、一生懸命キスに応えると大地さんはどんどん激しくなって止まらなくなっちゃう。

私がキス攻撃をかわして朝食の準備を再開すると大地さんはすねて機嫌が悪くなるから厄介だ。

機嫌悪く仕事に出掛けた日の夜は帰ってくるなりベットに連れていかれてしまう。

そんな日は大抵私は途中で意識がなくなって、朝起きると全身に赤い跡が残されている。

今日はどうなるかな。

そんなことを考えながら朝食を準備してると、大地さんがネクタイとカバンをもってやってきた。

「おはよう。」

「おはようございます。」

「うん・・・」

「んんっ。あっ。大地さん、電話なってます。」

「・・・」

「ん。大地さん!」

「・・・ちっ。」

大地さんはキスをやめてスマートフォンの画面を確認した。

一瞬、怪訝な表情をしたけど気のせいだよね?

何も言わず書斎に向かい、話をしているみたいだった。

電話を終えて戻ると何となく機嫌が悪い。

黙々と食事をして、出勤の準備を始めた。

「真凛、今日少し遅くなる。食事はいらないから。」

「わかりました。気をつけて。」

「あぁ、真凛も。いってきます。」

「いってらっしゃい。」

私は大地さんの態度に少し不安を感じながら自分もバイトに行く準備を始めた。

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