君に溺れた
仕事を早く終えて真凛より先に病院を出た。

真凛のマンションに行くとすでに先客がいた。

男もブランド時計の紙袋と、ケーキの箱を持っている。

俺は気にしつつも真凛が帰ってくるのを待った。

真凛が帰ってくると、明らかに真凛は驚いていた。

俺と男を交互にみる。

真凛は俺に恥ずかしそうに男を『彼氏』と紹介した。

俺は目の前が暗くなるような錯覚がした。

なんとか冷静を装い、真凛にプレゼントを渡すことができた。

まさか、真凛に彼氏と紹介されると思っていなかった。

でも、兄と妹のような関係を崩したくなくて臆病になっていた自分が悪い。

俺は決意を込めて真凛の彼氏に宣戦布告した。

もう後には戻れない。

やれるだけやるしかない。
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