キャラメルと月のクラゲ
離れていくその背中達に私はどうしようもないさみしさを感じた。
その距離が、さみしさの距離がもどかしくて。
それでも私は、叫びたくても我慢してしまう。
泣きわめけば、きっと楽になれただろう。
けれど、それでは何も変わらない。
たとえようのない寒さに似た孤独。
ずっと続くかもしれないという不安。
私はそれを埋めるために、隣で心配してくれるイズちゃんを抱きしめた。

***

何も言い返せなかった。
だって、僕は鹿山さんと何も向き合っていなかったから。
彼女が繰り返すさみしさの衝動が僕に向き合うことがなかったから。
もどかしくて、どうしようもできなくて、僕は立ち去っていくオトナの背中を何もできず見送るしかなかった。
それでも僕の中に一つだけ答えがあった。
彼女が彼と結婚するなんて想像したくなかった。
わがままでも、僕のそばで笑っていてほしかった。

***

「何もできない私は、私なりに答えを探した」
「だから僕は、僕なりに彼女と向き合う準備を始めた」
「キミのためにできることは何か考えることがキミのためにできることでしかなかった」
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