キャラメルと月のクラゲ
ありがとう。
と彼女がつぶやく。
月に照らされた笑顔は白い肌をさらに白く見せていた。
梨世の夢って、何?
僕は唐突に尋ねる。
夢? 内緒。だって、誰かに語ったら叶わなくなる気がしない?
彼女は笑った。
朋弥の夢は?
僕も内緒だよ。
ふーん。じゃあお互いに秘密ということで。
これが僕達の恋の答え。
手を伸ばして触れてはいけない彼女に僕は笑いかける。

***

見つめ合い、お互いの秘密を確認し合った私達の頭の上で輝いている、真っ白な半分の月が笑っていた。
私達の微妙な距離感を。
私達のどうしようもないもどかしさを。
私達の不器用な恋を、笑っている。
私達はわかっているんだ。
彼が私を好きなこと。
私も彼を好きなこと。
だから、お互いが傷付かない近さでそのままの遠さを保ってる。
嫌われてもいい。
軽蔑されてもいい。
そう言いながら私は怖いんだ。
嫌われることが。
軽蔑されることが。
彼に拒否されてしまうことが。

***

「ねぇ、梨世。僕達は出逢わないほうがよかったかもね」
「ねぇ、朋弥。私達、付き合わなければよかったね」
「そうだったら、こんなにも辛い思いをしなかったかもしれない」
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