あなたのそばにいたいから
先輩が退室して、5分も経たないうちに
ドアをノックする音が聞こえた。
トモかな?と思い、

「はい。」

と返事をした。


すると、

「失礼いたします。私、アンヴェールの早川と申します。
小林友行さんのご依頼で参りました。
小林友さんがこちらにいらっしゃるということ
で伺ったのですが…」

入室してきた方は、私の知らない会社の
私と同じくらいの年齢の女性だった。

「あの…、私は確かに小林友です。
ただ、小林友行の方からなにも聞いておりませんし、
たまたま、この部屋にいるだけで、
私の本来の仕事はアメリカで行っていますので、
何かの間違いじゃないでしょうか。」

「では、小林友行さんと連絡をとることは可能ですか。」

「あっ、はい。電話をかけてみますのでお待ちください。」

早川さんに促されて、トモに電話をかけた。

「もしもし、トモ?」

「あぁ、ユウ。打ち合わせでも終わったのか?」

「うん。社長への報告は終わった。
今ね、会社の第三会議室にいるんだけど、
アンヴェールの早川さんって方が訪ねて来られて、
トモの依頼だっていうんだけど。」

「あぁ、確かに、俺、依頼している。
その方の言われたとおりにしておいてくれればいいから。」

「何かあるの?」

「うん。早川さんが知ってる。
俺も、もうすぐそっちに向かうから。」

「うん。わかった。」

どうやら、トモが依頼したというのは本当のようだ。
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