あなたのそばにいたいから
社長室のとなりの応接室で待たせていただくと、
社長をはじめとするプロジェクトのメンバーが入室してきた。
みなさんに、現状の報告をした。
このまま進めていくようにという指示があった。
報告も終わり、退室したあと、廊下で今回の報告に同席していた広報部の課長に

「これから、みなさんに会いに行っていいですか。」

と尋ねたところ、

「あぁ、みんなも会いたがっているし、
ユウちゃんの送別会もできなかったから、
ちょっとした会を用意しようとしているらしいよ。
三枝くんが説明したいらしいから、
第三会議室に行ってくれるか?広報部はまだ仕事中だしな。」

「ありがとうございます。」

課長の言葉はうれしかった。

言われた通り、第三会議室に向かった。
会議室は、いつものようにコの字型に机といすが並べられているだけで、
特に変化はなかった。
しばらくすると、三枝先輩がお茶を持ってやってきた。

「ユウちゃん、久しぶり。」

「先輩、お会いしたかったです。」

実際は1か月も経っていないのに、
先輩と会ったのがすごく前のような気がした。

「課長から聞いたかもしれないけど、
広報部のみんながユウちゃんの送別会ができなかったことを
悔やんでいてね。今日、ユウちゃんが来るって聞いたから、
簡単なパーティーを企画したの。
急だったから、社員食堂のスペースを借りて、
ケータリングで悪いんだけど…。」

「いえ、みなさんに会えるだけでもうれしいのに。
気を遣っていただいてすみません。」

「友行くんもこっちに帰ってきてるんでしょ。」

「はい、このあとトモと落ち合うことになっていて。」

「実はね、友行くんも商品開発部も誘ってあるの。
まぁ、だから社食でやるんだけどね。」

「えっ、ありがとうございます。」

「友行くんも来るから、もうちょっとここで待ってて。
まだ仕事中の人もいるし、準備もあるから。
また、呼びに来るね。」

そういって三枝先輩は退室した。
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