あなたのそばにいたいから
「さて、宴もたけなわですが、
ここで今日の主役のお二人にお言葉を頂戴します。」

中田さんのアナウンスが会場に響いた。

「まずはユウちゃんから。」

「はい。本日は社長をはじめ、
みなさん、ありがとうございました。
先ほど父から『ユウは恵まれているなぁ。』と言われました。
本当にその通りだと思います。
思いがけないこのような場を設けていただいて、
なんと御礼を言っていいかわかりません。
今、関わっているアメリカでのお仕事を成功させることが
みなさんへの恩返しかなと思っています。
立場は変わりますが、これからもよろしくお願いいたします。
本日は、本当にありがとうございました。」

みなさんから温かい拍手をいただいた。続いて、トモ。

「本当にみなさん、ありがとうございました。
自分が言いたいことはもうユウに言われてしまいました。
僕の場合は、開発の仕事をしているので、
ロングセラーになるようなよい商品を手掛けることが
みなさんへの恩返しですね。
『結婚してよりいい仕事ができるようになったね。』
と評価していただけるよう頑張ります。
これからも見守っていてください。ありがとうございました。」

こうして思いがけない結婚式は終わった。
今回の本来の帰国目的は諸手続きだったから、
あわただしいまま、滞在期間は過ぎた。
両親には、次に日本に戻ってきたときに青森に行くことを伝えた。
1日だけ、トモと遊園地デートを楽しんだ。
最終日に秀斗くんやリンダたちへのお土産を買って、またアメリカへと戻った。
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