あなたのそばにいたいから
第2章
社長からの呼び出しがあったその日は、トモとのスカイプの日だった。

「ユウ、どうした浮かない顔して。」

「トモと話をしているのに、トモのぬくもりが感じられないからよ。」

「嬉しいこと言ってくれるね。俺だって、ユウを抱きしめたいよ。」

トモからストレートなことばを返されると思っていなかった私は
笑みを浮かべた。

「ユウ、どうした?急に表情が変わった。」

「トモが私を抱きしめたいなんて言ったから。」

「俺は真剣に答えているのにそれはないだろう。」

「ごめん、ごめん。いままでのトモだったら、
私に頭ポンポンって感じだっただろうなって思って。」

「妹のような同期って思っていたときと気持ちが違うんだから、
そうだろ?」

「そう言ってもらえてうれしい。ちょっと元気になった。」

「ところで、夏休みこっちに来る日、決まった?」

「うぅん、検討中。」

「早く、画面上じゃなくてリアル・ユウに会いたいよ。」

「私だって。決まったら、すぐに教えるね。」

「まだまだユウと話していたいけど、
俺、これから仕事だから。また、来週な。」

「うん。お仕事がんばってね。
来週のスカイプの都合のいい日、メールで連絡するね。」

「あぁ、待ってる。じゃあな。」

トモと話をしているうちに、やっぱり私はトモのそばにいたいと思った。
ただ、そばにいるんじゃなくて、何よりこの仕事も好き。
社長は働き方の提案までしてくれた。
社員として働くか、フリーで契約で働くかまで…。
だったら、フリーで契約で働こう。
それなら、トモと一緒にいられる時間を確保できる。
自分の答えを見つけ、少し希望をもてた夜だった。

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