白球に届け
こんがらがる頭で整理しようとする。

「笠間、聞いてるか」

先生の声で我に返る。

「武帝が亡くなった後、前漢は外戚と宦官の力が強くなった。何故か言ってみろ」

「皇帝が幼い時は外戚が重んじられ、皇帝が成長すると宦官の力を借りて外戚を退けようとしたからです」

私はそう答えた。

「笠間、それは古い歴史観だ。武帝の曾孫の宣帝という皇帝のときに法家寄りの政策をしき、中書の権限を強くした。それが宦官が政治に口を出す弊害を呼び、次の元帝のときに外戚が朝廷の要職に就くようになった。元帝の子の成帝のときには皇帝が遊ぶようになり、政治を怠るようになった。それが外戚と宦官の専横を読んだのだ」

宣帝って誰?

と、私は思った。皇帝の曾孫なのにどうして?あ、皇帝の家に生まれたからか。
王侯貴族の家に生まれるとスタートラインからして有利だよね。
(作者注※前漢の宣帝は民間で育ちました)

「成帝の寵愛した女性が趙飛燕だ」

どうしてそんなことを言うの?そもそもそんな人知らない。


「笠間、こぼれ話を知っておくと歴史も楽しくなるぞ」

先生に教科書で軽くつつかれる。

「は、はい……」

私は控えめな声で答えた。

それが1年生の時の話である。
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