チャット恋愛注意報!!(新)


……ゆっくりと歩き出したユージとの距離が、少しずつ開いていく。

それでも私は微笑んでいた。

ユージが抱き締めてくれたから、溢れそうになっていた涙はどこかへと消えていた。


大丈夫。

離れていても、私とユージは繋がっている。

それが ちゃんとわかったから、もう大丈夫。




「ユージっ。 今度また会おうねっ」



私のその言葉に、ユージは小さく頷いてから手を振った。

“声”は聞こえなかったけれど、でも、その口は『またね』と動いていて。

それを見た私も、『またねっ』と言葉を繰り返して笑顔を見せた。





──こうして、私とユージの二人の時間は終了した。

お互いに、満面の笑みを浮かべながら。


この日、私とユージは付き合いだし……そしてフジヤマにも再会した。

もしかしたら今日、YUKIにも再会出来るんじゃ? ……なんて淡い期待を抱きながら3日ぶりにチャットしたけれど、YUKIは現れなかった。

フジヤマは当たり前のように居たけどね。


……でもきっと、いつかはYUKIに会える。

きっとまた、みんなでチャット出来る日が来る。


と、メールでユージと話し、チャットでもフジヤマと同じことを話す。


……みんなYUKIを待っている。

YUKIが戻ってくるのを待っている。


絶対に会える…なんて保証はないけれど、それでも私たちは希望を捨ててはいなかった。



そして……事態が変わったのは8月18日。

私とユージの誕生日の前日に、“彼女”は現れた。



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