初恋は鉄の味
憧れの存在

それと同時に、影で興奮冷めやらぬ人物はもう一人いた。
「パパ。お父さん。んー……聖一さん。」
色んな呼び方を試しては口角をあげるみく。
【聖一さん、昨日はとっても楽しかったです!今度一緒にお茶してくれませんか?こんなおこちゃまじゃ嫌ですかね。】
そのメッセージを聖一が見たのは翌日になってからだったが、聖一はそれにすぐ返信をした。
【嫌だなんてまさか。俺でいいならお茶しよう。】
早々に日付を決め、カフェで待ち合わせ。
みくのした、精一杯の背伸び。
ワンピースもカバンも靴もメイクも。
「大人の男性って、こんなおしゃれなところ知ってるんですね!」
みくはもはや全てが新鮮だと言うように聖一をキラキラした目で見つめた。
「そんな大したことじゃないよ。でもそうやって笑って見せると、20年前の朋ちゃんにそっくりだな。」
みくの心を表現しようのない煙が包んだ。
お母さんと重ね合わせないでよ、今いるのは私なのだから、とは言えなかった。
その代わりに、ふふっそうかなとおどけて見せた。
「聖一さんをね、頭の中で勝手にパパとかお父さんって呼んでみて、三人家族ってどんなものかなぁ?って想像してみたんです。でもね、やっぱり聖一さんは聖一さんが一番しっくりきた。」
ははは、それは褒め言葉かな?でもそりゃそうだよと、聖一は穏やかに笑いながら、みくの頭を撫でた。
「次、また会えますよね?」
「もちろん、みくちゃんの気が向けばね。」
と二人は別れた。
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