初恋は鉄の味
こっちを見て

仕事と家事の両立に加え、大人だからこその気遣いが連絡を躊躇わせるようで、なかなか自分からはあまりアプローチのできなかった朋子に引き換え、みくはその現役高校生を武器に暇を見つけては聖一にメッセージを送り続けていた。
それこそ、おはようからおやすみの挨拶まで。
まるで合意の元、恋人にでもなったかのように。
【ねぇ、聖一さんはラブホテルって行ったことある?】
ある日みくが送ったこんな強引とも思えるメッセージ。
【あるにはあるけど、もう15年は行ってないかな、子どももいるしね。今度彼氏と行くためのリサーチかなにかかな?】
みくは画面越しにむーっと頬を膨らませ、違う違う!と足をばたつかせる。
【まぁ、そんなところかなぁ。でも1人では行けないし、聖一さんエスコートしてくれない?】
聖一はみくをからかうつもりもない代わりに、若いみくは刺激剤以上でもなかった。
そして簡単にいいよ、と返信を送ったのだ。
これやったりとばかりに拳を小さく強く握るみくを知らぬように、聖一の毎日は変わりを見せずに動いた。
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