初恋は鉄の味
新たな出会い

ピンポーンという呼出音に思わずトクンと胸が跳ねる。
「はい、いらっしゃい。あがって、聖ちゃん。」
「いらっしゃいませ、聖一さん!はじめまして、みくです。母がいつもお世話になってます。」
こら、みくったら調子に乗ってとたしなめる朋子に、随分と楽しそうな母娘だねと愉快そうに声を上げて笑う聖一。
みくは一緒にいたものの、朋子も聖一も今までのことやそれぞれの家族のことを率先して話したり詮索することはなかった。
「朋ちゃん、料理もやっぱりうまいんだね!昔からなんでもできたからなぁ。」
と聖一が褒めるとみくは横目で朋子を茶化す。
聖一が手土産で持ってきたケーキも食べ終え、朋子が片付けにバタバタしている間に聖一とみくは話に花を咲かせる。
「聖一さんって、全然おじさんの感じしないね。聖一さんみたいな人がお父さんだったらなぁ。」
このみくの一言が、後に全てを大きく揺るがすことになるとは、誰も知らずにいた。
「え、もう十分おじさんだよ。でも、なにか困ったことがあったら相談くらいは乗ってあげられるかもね。歳だけは重ねてるから。」
と聖一は悪気もなく連絡先を渡した。
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