身代わり・・だけ・・
家族とは1️⃣

…可愛い妹


双子妹の杏奈(あんな)は、

小さいときから可愛くて
自慢の妹だった。

母は、妹を溺愛して
「杏奈は、何を着せても
上手に着こなすし、
何を来ても可愛わ!!」
と、大絶賛。

中学の時には、
『モデルになりませんか』
と、スカウトされたが
父が
『弁護士の娘がみっともない』
と、一喝。

だから
杏奈は、中学では諦めて
高校に入ってから
直ぐにモデルの仕事を
始めた。

母は、杏奈の世話と父の世話に
毎日追われていて・・・

「栞奈(かんな)は、
家が好きで、一人が好きだから
大丈夫ね。
それに、お姉ちゃんなんだから。」
と、言い・・。。。

いつも、杏奈とお父さんが
優先だった。


私が・・・

初めて作った
ぬいぐるみを見せた時も‥‥

「あら、そんなの作ったの?
じゃ、行ってくるわね。
杏奈、遅れるわよ。」
と、ちらりと見ただけで
直ぐに奥の杏奈に目線が動く
「は~い。
お姉ちゃん、じゃーね。」

と、毎回・・こんな感じ・・・だ。

父は、というと
弁護士の仕事が忙しく
毎日、毎日、帰宅は遅く
家に長くいる事もなく
会話した記憶も
家族でどこかに行った記憶もない。

母は、いつも杏奈にベッタリで
私は、いつも家の中で一人だった。

そんな、私に
父方の祖母の美都(みと)さんは、
いつも、優しくしてくれた。

私の作った、ぬいぐるみを見て
「これ‥‥栞奈が作ったの?
すっごく上手だよ。
私が、貰っていい?」
と、言って
大事そうに、ぬいぐるみを
抱えて帰って行った。

それから、美都さんは、
良く家に尋ねてきて
色々な話しをしてくれた。

「栞奈は、この道に進んだら?
美都さんが、協力してあげるから。」
と、言った。

そんな美都さんが
私の唯一の理解者だった。


私達には中学の時に、
近所に引っ越してきた
幼馴染みがいた。

名前は、
生嶋 臣(いくしま じん)君
私達と同級生だ。

臣君のお家は、大きな病院を
経営している。
だが、臣君のお父さん
(お医者様兼経営者)が
亡くなってからは、お母さんが
病院を切り盛りしていた。

いずれ、臣君もお医者になると
言っていた。
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