ハッシュハッシュ・イレイザー
「好きになるって、苦しいだけだね。私も松永君の事で色々悩んでしまう。それと紫絵里の事も」

「紫絵里は松永君の事、諦めた方がいいのに。この先、紫絵里は辛い思いをしそうな気がする。あの石は人の心を狂わすもの」

「だけど、もう後には引けないわ。彼女のやりたいようにやればいい」

「真理はそれでいいの? また苦しむようになるわよ」

「いいの。紫絵里が松永君の事を好きになるのは自由だし、あの石がどういう風に導くのかは、もう止められない。私は臆病なの。一人秘密の想いを抱いて見ているだけしかできない」

 真理はマリアをじっと見つめ、そしてマリアもそれを真っ向から受け止めた。

 二人ともお互いの幸せを願い、どちらも自分の事のように、覚悟を決めて思いやっていた。

 この先の事を考えると震えるように、二人は自分たちの行く末に恐れるも、その時を待とうとお互い励まし合っていた。
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