ハッシュハッシュ・イレイザー

「そろそろ行こうか」

 真理が歩き出したので、紫絵里も足を動かしかけた時、優介が友達と一緒にこちらにやってくる姿を見て動きが止まった。

 紫絵里が立ち止まったことで、真理はすぐに事情を察し、先へ行くのを止めた。

 優介はどんどんとこちらに近づいてきている。

 紫絵里はそわそわし、動きがぎこちなくなっていた。

 声を掛けたいが、優介が友達と一緒にいる時はあまり馴れ馴れしく近づけない。

 優介の仲のよい友達は、次元が違って荒ぶった雰囲気がする。

 優介は優しいが、その周りの男の子たちは人の嫌がる事でも平気で口にできるように、捻くれた部分がある。

 優介が紫絵里と仲良くする陰で、その男の子達は色々とからかっている様子だった。

 それを知ってるだけに、紫絵里はその男の子達が苦手だった。

 いつもは隣の席だから優介と毎日話をするのに、この日はそれができず、紫絵里はヤキモキして自分の気持ちが抑えられないでいた。

 せめて、一言だけでも言葉を交わしたい。

 それができなければ、席が隣だから仲良くしているだけの関係になってしまいそうで、本当に仲良くなった気がしないでいた。

 紫絵里は優介だけが自分のところに来てくれることを強く願った。

 すると、本当にその願いが叶い、優介が友達の輪を離れて、紫絵里と真理の傍にやってきた。
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