榛色の瞳を追って

洋服と文男兄さん

日曜日の我が家は、普段以上に朝から大忙しです。

「あさはまだ来ないの? 昭男起こしてきて」

妹のあさは名前はあさ(朝)なのに、いつも寝坊しては学校にも遅刻ギリギリで駆け込むのです。 いつも「朝早く生まれたから『あさ』とつけたのは間違いだっただろうか」と父がぼやいています。

一方、母に頼まれてあさを起こしに行った末の弟の昭男(あきお)は早起き。 家の手伝い以上にほつれた服も自分で直しますし、私の部屋に来て「ちさ姉ちゃん、ボタンのつけ方教えて」と言ってきたりもします。 あさでは有り得ません。

良くも悪くも近代的と言うのか、妹が良妻賢母とはかけ離れているのか…。

「あさ姉ちゃん、8時半ですよ」

「はっ!?」

まるでどちらが末っ子か分からないのですが、最近は彼女も焦りを覚えたらしく、居間で教科書とノートを広げている面をよく見かけます。

「マム、姉ちゃん起こしてきたよ」

「ありがとう、昭男」

これだけなら、普段と変わらないのですが…。 日曜日は、もう一つの騒動が自然に起きるのです。
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