甘言師、臥雲旦陽の甘い毒
ここで一つ、再び国府谷の脳裏に疑問がよぎった。
彼の中の甘言師は詐欺師も同然。
騙し屋たる彼らがどうやって今の小野を救うことが出来るのだろうか。
助けて欲しいと縋る気持ちは理解できる。
ここに縋る思いで来たことも想像できる。
だが、明らかに自分達では役不足ではないだろうか。
事実の隠蔽も工作もしないと梅芳が先ほど言っていた。
依頼人を庇い罪をなかったことにすることも恐らくないだろう。
では、詐欺師として小野に出来ることがなにかあるだろうか。
…答えはNOだ。
思考の最終到達点に達し、困った顔で臥雲の様子を窺った。
「…奥様を殺した時、どうでした?凶器はなんです?刺殺ですか?絞殺?撲殺?俺なら刺殺だな」
そのあまりにも常識外れの質問の真意はしれない。
だが、国府谷は反射的に臥雲を睨んでいた。