雪の降る日に、願いを消して
「2人でボーリングって、面白いの?」


「やってみたらわかるだろ」


聡樹はいつものように適当な返事をして笑った。


カラオケにしてもそうだ。


2人で行くと必ず1人が歌っていることになるから、もう1人は一生懸命盛り上げないといけない。


それが楽しいと感じられるかどうかはわからなかったが、聡樹を見ていると大丈夫な気がしてくるから不思議だった。


それほどまで2人でいると言う事が自然体になっているのかもしれない。


「鈴、ボーリング場に来たら絶対にアイス買うよな」


ボーリング場内にあるアイスの自販機にお金を入れているあたしを見て、聡樹は呆れたように言った。


あたしはここでアイスを食べるのが好きだった。


他の場所で同じアイスの自販機を見かけても食べたいとは思わないのに、なぜだかボーリング場では食べたくなるのだ。


「だって、体を動かしたら熱くなるじゃん」


あたしはモナカアイスを買ってそう言った。


「まだボーリング始まってねぇし」


聡樹にそう言われ、声を上げて笑う。


聡樹と一緒にいると駿の事を考える時間が急速に減って行くのを感じていた。


駿のアドレスを消したあの日から、あたしの中で駿の存在は聡樹にとって代わろうとしていたのだった。
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