雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

「よぉ、鈴!」


家まで迎えに来てくれた聡樹の服装を見て、あたしは安心した。


聡樹はいつもと変わらないTシャツにジーンズ姿だ。


あたしも負けず劣らず、いつも休日に着ている分厚いカーディガンだった。


自分が一番落ち着く服装がこれだった。


「おはよう聡樹」


挨拶をして2人で並んで歩き出す。


すると自然と会話は弾んできて、いつもと変わらない笑い声があふれ出す。


これがデートだなんて思えないくらい、自然体だった。


「ボーリングでも行こうぜ」


聡樹が言う。


これもいつものコースだった。


ボーリングからのカラオケ。


いつもなら何人か仲間を集めていくところが、今日はあたしと聡樹の2人きり。


違いはそれだけだった。
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