雪の降る日に、願いを消して
☆☆☆

このまま真っ直ぐ帰ると余計な事を考え出してしまいそうだ。


そう思ったあたしは気分転換に紗英と買い物に行く事にした。


学校の近くにある小さな洋服屋さんに立ち寄る。


ここのブランドは学生にとても人気なので、放課後のこの時間、お店の中は窮屈だった。


「鈴、新作が出てるよ!」


紗英に呼ばれて近づいていくと、新作の冬服がズラリと並んでいる。


去年好評だったデザインが、今年風のアレンジをくわえられて並んでいる。


パッと見ただけで好みの洋服ばかりで、自然とほほ笑んでいた。


やっぱり、好きな物を目の前にすれば自然と笑えるものなんだ。


改めてそう感じた。


あたしはショウを見てどれほどほほ笑んできただろうか?


もう思い出せないくらい、笑顔を貰っているのだ。


そう思うと、途端に申し訳ない気持ちが湧いて来た。


あたしはショウに笑顔を貰い続けてきたんだ。


それなのに、ショウの生活に土足で踏み込んでしまったのだ。


もちろん、ショウは笑顔をあげていたなんて思っていないだろうけれど……。
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