雪の降る日に、願いを消して
過去‐駿サイド‐
あれは俺が小学校2年生の頃だった。


俺の家の前には可憐という名前の少女が住んでいた。


可憐はまだ幼稚園児に見えるくらい小柄で、大人しい女の子だった。


家が目の前と言う事があって、俺たち兄弟は可憐とも自然と仲良くなっていた。


通学の班でも一緒だし、地域のイベントでも一緒。


可憐は小柄だったけれど運動神経が良くて、俺たち兄弟の木登り遊びにもついて来ていた。


いつも一緒に行動して俺が、可憐に惹かれていくのに時間はかからなかった。


気が付けば可憐を目で追いかけている自分がいた。


子供ながらに好きという気持ちを自覚してもいた。


俺たちはずっと一緒に、変わらない大人になっていくんだろう。


もっと大きくなったら、可憐に気持を伝えたい。


そう持っていた。


そして俺たちの輪の中には桜子もいた。


桜子の家もすぐ近所で、やっぱり通学の班も同じだった。


俺が可憐の事を好きだと自覚し始めた頃、桜子がやけに話しかけて来るようになった。


花の冠を作ればショウではなく、俺にプレゼントしてきた。


俺の誕生日には誰よりも立派な絵を描いて持って来てくれた。


桜子は俺に特別な感情を向けている。


自分が可憐の事を好きだったから、桜子の気持ちにもすぐに気が付いたんだ。
< 258 / 312 >

この作品をシェア

pagetop