フォーチュン
「ビシューは治安が悪いってわけじゃないけどね、それでも若い女の子がひとりで旅してて、しかも身分証を持ってないって知れたら、人売りにさらわれる可能性だってあるよ」
「でも、そこまでご迷惑をおかけするわけには・・・」
「迷惑だと思ってるなら、泊まっていけなんて言わないよ。ね?あんた」
「ああ、そうだな」

確かにおねえさんの言うとおり、身分証を持っていなければ、それなりの宿に泊まることしかできない。
下手すると、宿にすら泊まることができなくて、外で野宿をするしかないかもしれない。
かといって、この人たちの行為に甘えてもいいの?
というより、この人たちについて行っても大丈夫なの?

迷ったアンジェリークは、「あの・・・なぜ、そこまで私に親切にしてくださるのですか?」と、率直におねえさんに聞いてみた。
< 146 / 318 >

この作品をシェア

pagetop