フォーチュン
しばらく二人は無言だったが、先に沈黙を破ったのは、アンジェリークだった。

「ディオドラさん。本当にごめんなさい」
「・・・なんでアンが謝るの?」

一瞬驚いたディオドラは、手綱を持っていることもあって、チラッとだけ横に座っているアンジェリークを見た。

「私のせいで、ディオドラさんを危険な目に遭わせてしまったから・・・」
「アン・・・」

ディオドラはフーッとため息をついた。

「私もレアルタへ行く用があるって言ったでしょ?それに山道は、普通の道より襲われる危険性は高くなる。昨日は襲われなくてラッキーだった。そしてアンと一緒じゃなくても、私は山道を通ってレアルタへ行っていたかもしれない。普通の道を通っていても、一人で出かけていても、襲われた可能性はあるんだよ。だからこれはアンのせいじゃない」
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