フォーチュン
「アン」
「あなたのお名前は?」
「俺は・・・コンラッドだ」

はっ?王子!それ俺の名前じゃないですか!
チラッと目を合わせたのはそのせいですか!

二人の邪魔をしないよう、近くの物陰に潜んでいた護衛長のコンラッドは、声を出さずにユーリスに抗議をした。

「コンラッドさ・・」
「コンラッドでよい」
「では・・・コンラッド。ご案内、よろしくお願いいたします」

おどけた口調でアンはそう言うと、空色のロングスカートの裾をつまみ持ち、カクンと膝を曲げてレディのお辞儀をした。

「こちらこそ。アン。では最初に・・・走るぞ!」
「えっ?えええっ!?」

驚くアンの手を俺は引っつかみ、全力で駆け出した。
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