フォーチュン
ⅩⅩⅢ
ユーリスたちの懸命な捜索にも関わらず、アンジェリークはハイゼンブルグ帝国でも見つからなかった。

「皇女はいつ身分証を手に入れたんだろう」
「所持金の額で、いつプリウスを出たのかが見当つくってことですね?」
「どっちにしても、これだけ探して手がかりなし。ということは、皇女はもう、ハイゼンブルグを出ているだろう」
「港から出ているドラーク行きの船は」
「東のロザールと、北西のエクリアだな」

皆はテーブルに広げた地図を見ながら指差して、あれこれ意見を述べ合う。

「ハイゼンブルグの港は、エクリア海とつながっている」
「ロザールだってつながってるぞ」
「しかしロザールのほうが遠回りになる」
「身分証を手に入れたんだったら、隠れる必要もなく、堂々と入国できるし」
「それに、皇女は一日も早くドラーク入りをしたいんじゃないですか」
「フレデリック」
「はっ」
「ロザールとエクリア、両方の港にある出入国検閲所に伝令を送れ」
「かしこまりました、ユーリス様」
< 225 / 318 >

この作品をシェア

pagetop