フォーチュン
「おまえの家族へは伝令を送った。今ドラーク(ここ)へ向かっているところだ。恐らく明後日にはここに着くだろう。それまでおまえがここにいることは、公にはできない」

母様と父様、そして姉様たちがドラークに着いた後、私はどうなるのだろう・・・いえ、私だけではなく、家族皆は、どのような処罰を受けるのかしら。

愛する人に会いたい一心で、王族の身分を投げ出し、国を捨てたことへの罪悪感と、これからどんな処罰を受けるのかという恐怖心が、アンジェリークを苛んでいく。

「俺が執務中でこの部屋にいない間は、マチルダを寄越す。案ずるな。マチルダは俺にとって、もう一人の母上のような存在だ。遠慮せずに何でも話すが良い・・・アンジェリーク?」

ユーリスは、アンジェリークの華奢な体を膝の上に乗せて、包みこむように抱きしめた。
そしてアンジェリークのグリーンの瞳から流れ出る涙を、ユーリスは指で優しく拭う。
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