フォーチュン
 一年後、夏至祭。

「では行ってくる」
「くれぐれも王女に無理をさせないように」
「分かっています、母上。ではアン、行くぞ」
「はい!」

そして今、アンジェリークとユーリスは、夏至祭たけなわの街へ繰り出しているところだ。
二人は手をつないで歩きながら、通りにずらりと並んでいるがらくた市を見ていた。

「あら、素敵な絵本。これはおいくらですか?」
「50ギニア!夏至祭価格だよ!」
「まあ!何て安いの!」
「ではこれをもらおう」とユーリスは言うと、50ギニアのコインを渡す。

「ありがとう」
「こちらこそありがとう。生まれてくる子どもたちにこれを読み聞かせます」
「子どもたちって?」

「双子なんです」

愛し気にそっとおなかに手を当てるアンジェリークは、幸せいっぱいな笑顔をしている。
そんなアンジェリークに、市(いち)の女性は「お幸せに」と祝福の言葉を贈った。
< 313 / 318 >

この作品をシェア

pagetop