フォーチュン
「とっ、とにかく、他人になりすましてまで、その宴に参加をしなければならないのでしょうか」
「当然じゃ。ここでユーリス様のお目に叶えば、わがバルドー国は強力な後ろ盾を得ることができる」

「お目に叶う」イコール「結婚する」・・・。
途端に私の顔がサッと青ざめたのが、自分でも分かった。

「そんな大役、私に務まるわけがありませんっ!」
「ですが、宴に招待される機会はこれ一度きり」
「しかもドラーク王国では、ちょうどその日、夏至祭が行われるぞ」

あ、いけない。
今私の好奇心が、確かにピクッと脈打った。

「アン。あなたはドラーク王国の夏至祭を、一度は見てみたいと言っていたじゃありませんか」

あぁお母様!
そんな畳み掛けるようなことを言われると・・・!
誘惑の言葉が、私をどんどん絡めとっていく。


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