フォーチュン
「そうよ、アンジェリーク。アナスタシアはあのドラーク王国の宴に招待されたのですよ」
「しかも今回の宴は特別じゃ」
「と、いいますと・・・」
「ドラーク王国の次期国王にならせられる、ユーリス様の妃候補」

 母様の端折っているけどキーワードがしっかり詰まった言葉に、私はドキッとした。

「つまり・・」
「これは見合い。しかも争奪戦的な」
「だったらなおのこと、アナに行かせるべきでしょう!」
「それができないから、あなたに行けと言っているのが分かりませんか」
「で、でもお母様。私は髪と目の色が、アナとは全然違います」
「変装すればいいでしょう」
「それ犯罪じゃないですか!」
「どこが」

母様、なぜ平気な口調で、そのような大胆なことを申すのでしょうか・・・。
しかもその有無を言わさないニッコリスマイルが、非常に怖いんですけど。
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