フォーチュン
「というわけで、出発は2日後」
「え!そ、そんな・・・そんなにすぐ、なのですか・・・」

普段はいきいきとしているアンジェリークのグリーンの瞳が、見るからに曇っていく。
そんな瞳ですがるように見られた帝と女帝は、父と母として、居たたまれない気持ちが芽生えたのか、少しばかり目を伏せた。

「ええ、確かに早い出発ではあります。しかし今日から3日後に、ドラーク王国のユーリス王子がこちらへお越しになるの」
「・・・え。じゃあ、アナは・・・」
「恐らく。婚姻の話が公になるのは時間の問題」
「しかし、じゃ。アンよ、おまえは宴でユーリス王子に出会っておる。もしおまえを見て、王子があのときのことを気づかれれば、事は複雑になる。世界を揺るがす一大事になる可能性もあるのじゃ」

あ・・・確かに父様のおっしゃる通り。
私とアナと、もう一人の姉であるアドは、姉妹だからか、3人とも顔立ちは似ているほうだけど、違いがあるのは明らかだ。
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