アイ・ラブ・ユーの先で


いきなり、夜の闇を裂くようなまぶしすぎる閃光のあと、ドンという地響きみたいな轟音。


南の空に花火が上がりはじめていた。

だけど、そのぜんぶを、いまは他人事のように感じている。



「昂弥先輩っ」



最初で最後の必殺技を、いまにも行ってしまいそうな背中にむかって投げつけた。


渾身の一撃、くらえ、とどけ。

花火になんか負けるな。


高い位置にある首がふいにガクンと落ちる。

佐久間先輩の言うように、これはなかなか効果てきめんかもしれない。



「好きです、昂弥先輩……好きです。もう、なんにも誤魔化せないです」



本当に、わたしは、普段はまったくナキムシじゃないのだ。

なぜか、いつも、この人の前でだけ、惜しみなくぼろぼろ涙をこぼしてしまうだけで。


「……阿部佳月」


堪忍したようにふり向いた先輩が、静かにわたしの名前を呼んだ。


「一度しか言わないから、よく聞け」


そうして、続けた。




「俺だけは、やめておけ」



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