漂う嫌悪、彷徨う感情。

小田さんがオレと岡本の間に入り、オレの胸を押しながら岡本から引き離した。

その様子を美紗は複雑な表情で見ていて。

小田さんは、オレと岡本に喧嘩をやめて欲しくて、オレの胸を掴んでいるんだという事は分かる。

ただ今の状態で、美紗が他の女に触られているオレを見たら、嫉妬してくれるわけではなく、更に気持ちが離れていってしまう気がした。

オレの胸にある小田さんの手を退けようとした時、

「余計な事をしてすみませんでした。 佐藤さんと小田ちゃんが今している作業、ワタシにやらせてください。 岡本さんの言う通りです。 ワタシ、2人に腹が立っていたんです。 最初にワタシが頼まれた仕事なのに、2人でやっちゃうから。 ワタシの方が、前にやった事がある分早く出来るのにって。 後はワタシに任せて、みなさんは違う仕事をして頂けませんか?? ワタシ、ちゃんと退社時刻までに作り終えますから」

美紗がオレらに向かって勢いよく頭を下げた。

やり方は良くなかったかもしれないが、美紗に悪気があったとは思えない。 ただ、オレらを気遣ってくれただけだと思う。 だけど、美紗は何も反論せずに悪者に徹していた。

美紗が、オレと岡本の喧嘩の原因の怒りを、全て引き受けようとしている。
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