漂う嫌悪、彷徨う感情。

美紗の実家のベルを押すと、

「いらっしゃーい!! 待ってたわよー!!」

美紗のお母さんが、元気よく玄関のドアを開けた。

「突然すみません」

が、オレはそのテンションに合わせられない。 だって、オレがこれからする話は、全く明るい話題ではない。

「ウチはいつでもウェルカムよー!! ほら、靴脱いで上がって上がって」

美紗のお母さんがオレの腕をグイグイ引っ張るから、

「お邪魔します」

靴を揃える事も出来ずに家の中に入った。

そのままリビングに連れて行かれると、

「お腹空いてるでしょう?? 張り切っていっぱい作っちゃった」

と美紗のお母さんがオレの為に夕食を用意してくれていた。

ダイニングテーブルの上には、オレの好物が並んでいた。

美紗のお母さんは、オレが何気なく話した好きな食べ物の話をしっかり覚えていてくれたのだろう。
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