漂う嫌悪、彷徨う感情。

「本当にオレの事なんか気にしてた?? 朝から仲良さそうに2人で朝メシ食ってたじゃん。 オレの事なんか、気にも留めずに楽しんだんだろ?? 結局、付き合ったんじゃないの?? 和馬くんと」

正直、悔しいのは美紗ではなくオレの方がだ。 攻め立てる様に問い掛けるオレに、

「旅行は楽しかったです。 でも、付き合ってません」

美紗が否定をしながら首を左右に振った。

「でも、一緒に寝たんだろ?!!」

苛立ちと悔しさが入り混じり、勢い余って答えなど聞きたくもない質問が口をつく。

「一緒には寝てません。 一緒の部屋で寝ただけです」

真剣な目で答える美紗が、冗談を言っている様には見えない。 でも、

「・・・・・・何その、女子のありがちな言い訳。 女子あるある?? 正直に言えばいいじゃん。 何の為の否定??」

大人の男女が温泉に行って、何もないはずがない事を、大人のオレは分かりきっている。

簡単に信じられるわけもなく、変に嘘を吐かれるくらいなら潔く認めてくれた方がマシだ。 と乾いた笑いが漏れた。
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