漂う嫌悪、彷徨う感情。

「・・・で、そんなこんなで結婚式準備に忙しくなってまいりまして・・・。　今週末、木原さんと行く予定だった苺狩りツアーに行く事が出来なくなってしまいました。　お詫びの印というわけではありませんが、良かったら小田さん、行きませんか？？　苺、好きって言ってましたよね？？　もう１枚は、岡本！！　オマエ、いつもいつも毎日毎日暇持て余してるんだろ？？」

そしてここで、真琴に取らせた苺狩りツアーのチケットをスーツのポケットから取り出す。

「・・・はぁ？！　何オレの事暇人扱いしてるんだよ、佐藤！！」

わざとらしいオレの煽りに、見事に引っかかる岡本。

「え？？　行かないの？？　じゃあ誰か・・・「行かないとは言ってないだろうが！！　暇人じゃねぇってだけだわ！！　今週末はたまたま時間があるだけだわ！！」

オレの話を遮った岡本が前に出てきて、オレの手からチケットを抜き取った。

そのまま自分のデスクに戻ろうとする岡本に『後は頼む』と耳打ちすると、岡本は『これがオマエらが小田さんに出来る限界だろうしな』とオレを鼻で笑い、『おめでとさん』と言いながらオレの前を横切った。