漂う嫌悪、彷徨う感情。

あとは家に帰って1人で泣こうと、公園を出ようとした時、

「待って美紗ちゃん!! 送るから!! 今の美紗ちゃんを1人で帰らせられない」

日下さんがワタシの手首を掴んだ。

「大丈夫です。 1人で帰れます。 ・・・1人にしてください。 お願いだから。 ・・・真琴ちゃん、日下さんの事待ってるんじゃないんですか?? デートする約束してるんですよね?? ワタシの話に付き合わせてしまってすみませんでした。 もう行ってください。 ワタシ、本当に平気なので」

日下さんの手を降ろそうとするも、

「・・・じゃあ、せめてタクシーで帰って。 心配だから。 美紗ちゃんがタクシーに乗った事が確認出来たら、真琴に会いに行く。 じゃなきゃ、真琴のとこには行けない。 美紗ちゃんを1人になんか出来ない」

日下さんは更に力を入れてワタシの腕を掴んだ。

「・・・分かりました。 そうします」

家に帰るにはタクシーに乗るしかないらしい。 真琴ちゃんの彼氏さんに送ってもらうなんて命知らずな事は、何があっても出来ない。

2人で公園を出ると、日下さんが捕まえてくれたタクシーに乗り込んだ。

「美紗ちゃん、帰ったら水分たくさん取ってね。 いっぱい泣いたから」

窓の外で日下さんが心配そうに手を振った。

そんな日下さんに大きく頷き手を振ると、タクシーが出発した。

流れる景色を見ながら、『ふぅ』と息を吐いた。


やっと1人になれる。

やっと1人で号泣出来る。
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