漂う嫌悪、彷徨う感情。

「じゃあ、オマエも受験すれば良かっただろうが!! オトンもオカンも『受験するな』なんて一言も言わなかっただろうが!! オマエが『私立には行かない』って言ったんだろ!! 受験勉強を拒否したのは自分だろ!! 逃げた自分を正当化して、周りに責任を擦り付けるな、このど阿呆が!! しかも、それが理由なら美紗は関係ないだろうが!! 自分と違って勉強が出来る美紗が鼻についたんだろ?! だから美紗に酷い事したんだろ!!」

目の前で怒りながら叫び泣く真琴に、怒号を浴びせる。

真琴の話で、なんで美紗を狙ったのか察しがついた。

美紗は、片親と言う事もあって高校も公立の進学校を出ていたし、大学も予備校に行かずにストレートで国立に入るほど優秀だった。

暗くはないものの控えめな美紗は、強めのギャル化して調子づいていた真琴にとっていじめ易い存在だっただろう。

思考が憤怒に覆われ、『何故真琴がオレの妹なんだ』『オトンとオカンは、どんな育て方をしたんだ』『こんな女、どうして産んだんだ』とオトンとオカンにまで忿怒が散乱し始める。
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