漂う嫌悪、彷徨う感情。

「お兄ちゃんは昔からそう!! 自分さえ良ければいい人なのよ!! 『オマエも受験すれば良かった』?!! はぁ?!! 『お兄ちゃんが受験しなければ良かった』のよ!! そしたらワタシも近所から出来損ない扱いされなかっただろうし、美紗もワタシから目を付けられる事もなかったかもね!!」

とことん頭の悪い真琴は、馬鹿すぎて最早諭す気さえも失う様な罵声を吐き散らす。

自分の妹が手に負えない。

なんだか頭痛がしてきて、中指でこめかみを押さえていると、

「さっきから何をほざいているんだ、オマエは!! 勇太が自分さえ良ければ良い人間?? 勇太じゃなくて真琴の方だろ!! 気に喰わない事があるとすぐ人のせいにして・・・挙句、他人様を傷つけて・・・。 この馬鹿野郎が!!」

半ば妹を見限ったオレとは違い、やはり親であるオトンは、激高しながらもしっかりと真琴の間違いを言い正した。
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