死神のお仕事
午後五時二分。
「また明日、来るからね…。」
「今はゆっくり休みなさい…シャンテ。」
「うん…またね…。」
ガラッ…。父親と母親は、手を振りながら、笑顔で帰って行く…。
(また…一人になっちゃった…。寂しいよ…。アルフ…来てくれないかな…。)
そんなとこを考えていたシャンテを、強い睡魔が襲う。
(まだ…たくさん…生きていたい…。)
午後七時十三分。
「……ンテ…シャンテ…。」
誰か自分の名を呼ぶ声がする。
「誰…?」
目を覚まし、シャンテは声の方向に目をやる。
「アルフ…?」
…アルフだった。
開け放った窓の縁に、大鎌を背負うようにかけ座っている。
彼の腕の中には…
「子犬だ…かわいい…。」
クウクゥと寝息を立てている、白いラブラドールの子犬が。
「…風の噂で耳にしたが、今夜の手術…受けたくないのか?」
アルフは腰を上げ、ベッドの左隣にスタッと降り立つ。
「うん…。だって…受けてもあたし…死んじゃうんだから…。」