永遠の花




「黎。久しぶりだな。」




暗いところから聞こえた懐かしい声。



低いが重みはなく耳に通る声。



駆け寄り抱き着きたい、会いたかった人たち。





黎は髪を靡かせその人たちのもとへ行こうとした。





もう少しで顔が見えると思ったとき




急に黎との距離が遠くなった。





「え、何で…。」




混乱する黎に今度は高く綺麗な鈴のような声。





「貴方はここに来るべきものではありません。」





「母様。父様。」




そう二人は黎の父と母なのだ。



二人は黎の留守中に姿をくらませた。



綺麗好きの二人の部屋は




これまで見たこともないほど散らかっていて



ところどころに血痕があった。





幼いころの黎でもわかったのだ。





両親は殺されたと…。





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