少しの背伸び
「ふふ、いらっしゃいませ、なんてお店みたいだね」
「あ、そうかも…えへへ。と、とにかく上がってください!お兄ちゃん呼んできますね!」
相沢くんに家の中に入ってもらってから、いつものように二階の自室にいる兄を呼びに行こうと背を向ける。
「あ、待って」
と、腕を軽く掴まれて、何かあるのかと首だけ相沢くんに向ける。
「今日なんか雰囲気 違うね、可愛い可愛い」
ぽんぽん、と優しい手のひらが頭に乗せられて、私の心臓がきゅうん!と鳴った。いや、鳴ってないけど、鳴った。