少しの背伸び



あの飲み会、というのが何かはなんとなくだけど知っている。


というか、その日は私にとってもすごく印象に残る日だったから。



────今から約 1ヶ月前。割と遅めの夜に鳴り響いたインターホンに、またお兄ちゃんが遊んで帰ってきたんだろうな、と眠気眼で玄関に向かった。


遅いよ、と文句の一つでも言ってやろうと玄関を開けると、目の前に立っていたのは知らない男の人だった。


当時から相手を確認せず玄関を開けてしまう私はその時、あっ、もしかしてやばい??と一瞬で目が覚めたのだけど。


『あ、こんばんは。夜分遅くにすみません。妹さん?だよね』


少しの間のあと聞こえてきた透き通るような声で、初めてちゃんとその人の顔を見た。


『初めまして。俺、かなたくんと同じサークルの相沢 時雨です。』


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