意地っ張りの涙(仮)
膝から崩れ落ちて床をダンダンッと拳で叩き出した凌平が余りにも憐れで私は、そっと肩に手を置いて慰める。

「私の得意分野だったら教えられるから、泣かないで!」

「あっ……茜~!!」

「えっ!……きゃあ!?」

感極まった凌平が私に抱き着いてきたので少し体勢を崩してしまって押し倒された格好になってしまった。

ゴンッ!!!

凄い音ともに凌平の顔が落ちた……私の顔の横に。

「退きなよ、このバカッ!」

「柊、もう大丈夫だ」

罵声と共に里緒菜が凌平を蹴る。凌平を落としたのは里緒菜なんだけど……凌平が憐れすぎる。
夏目は何事もないように私の手を取り起こす。

「凌平…大丈夫なの?」

心配になって声を掛ける私に結城先生は、

「あ~、平気だろ。後頭部にコブが出来ているが冷やせば大丈夫だ。ベットに寝かせとけ」

軽く凌平を診た後、夏目に指示してベットに寝かせる。

ーーー全てにおいて雑な扱いだ。
なんか前が見えないな…これ、涙か……。
そっと私は涙を拭い、タオルを濡らして後頭部に当てる。
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