偽王子と嘘少女
「思う存分に泣けばいい」


それなのに……。


「紫水くんと回れることをずっと楽しみにしてきたのに、どうしてこんなことに…」


遡ること、集合してから数十分後。


どこへ行こうか考えていたら、希子が私に耳打ちをしてきた。


それは、2人ずつで分かれたほうがもっと紫水くんと仲良くなれると思う、ということ。


2人っきりになるということに少し抵抗があったものの、その案に賛成した私は、午前と午後のどっちにするか希子とじゃんけんをすることにした。


勝ったのは希子で、紫水くんと回るのは最初が良いと言ったため、私はこうして藤堂くんとまわる羽目になってしまったということだ。


「こんなの余計に恋人だと思われるじゃん! まだあのときの誤解も解けていないのに!」


「まあまあ。この俺のビューティフルフェイスに免じて、楽しくやろうよ」


それは俺様というより、ただのナルシストです。


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