偽王子と嘘少女


でもまあ、確かにそうだね。


せっかく来たんだから、楽しまなきゃ損損!


「さあ、食べまくるぞー!」


「はあ…!? ちょっ、いきなり走り出すなよ!」


私の突然の行動に慌てふためく藤堂くんを置いて、私は早速店のほうへ走り向かった。





「へえ…いろいろあるなぁ」


たこ焼きに焼きそば、かき氷にりんご飴。


どれも美味しそう。


「好きなの選べば? おごるから」


後ろから藤堂くんのそんな言葉が聞こえて、つい甘えてしまう。


「いいの?」


「俺の財布が悲鳴をあげない限りは…」


じゃあ、と最初に指差したのは。


「これ! これがいい!」


そう…ふわふわで女の子らしい、可愛いわたあめ。


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