偽王子と嘘少女
「うん、元気にしてた?」
「まぁね、勉強は大変だけど」
下の名前で呼ぶ女の子。
キャラを作らない、そのままの藤堂くん。
私には関係ないはずなのに、なぜか取り残された気分。
いつもは美味しく感じるこのいか焼きも、今日は味がしない。
「じゃあまた。楽しんでね」
「そっちこそ」
その女の子は、藤堂くんと少し話をして帰っていった。
誰だったのか気になったけど、私はあえて聞かない。
彼女でもないのに、嫉妬とかやきもちとかしてるような、面倒くさい女だって思われたくないから。