偽王子と嘘少女
「お前を迎えに来たんだから」


それから、いろんなところを回った。


どれも楽しくて、素敵な思い出。


長いようで短かった紫水くんとのデート。


だけど、告白することなんて出来なくて、この関係を崩さないままでいたい、と思ってしまった。


わがままで、意気地なし。


そう思われても、仕方ないくらい。


「じゃあ、そろそろ合流しようか」


紫水くんは、希子にメールする。


私が藤堂くんの連絡を持っていないのだから、しょうがないっちゃしょうがないんだけど、それでもなんだかもやもやする。


< 203 / 273 >

この作品をシェア

pagetop